一番搾り
メゾン·ブルーノ·パイヤールは、他に類を見ない極めて純粋なシャンパーニュを作りたいという創設者の願いの下に生まれました。
収穫期には、厳選された40以上もの畑から収穫された葡萄がメゾンに供給されます。各々の畑の特色を最高の形で引き出すことが毎年の課題であり、ブレンド比率はその年の判断に任されます。
葡萄の実は畑に最も近い圧搾所で圧搾され、その後、大小96のステンレスタンクと400の樽が待つランスのワイナリーに運ばれます。
1キロの葡萄から50cl採れる一番搾りの果汁だけを使用します。
ワイナリーに運ばれたマストは、産地、品種、畑の区画ごとに別個に樽またはタンクに詰められます。アルコール発酵は、開放型のタンクまたは小型のオーク樽を使って行われます。
マロラクティック発酵がその後に続きます。一番搾りの果汁のみを使って作られるブルーノ·パイヤールのシャンパーニュは、他のシャンパーニュよりも平均して酸度が高く、これは、最も熟成具合の良いシャルドネの比重を多くしているためでもあります。マロラクティック発酵でこの酸のレベルは自然に減少し、ピュアでエレガントな不変のワインが生み出されます。
発酵を終えたワインは「ヴァン·クレール(原酒)」といい、この段階ではまだスティル·ワインです。
ワインはそれぞれの品種特性に加え、畑の特質やシャンパーニュ地区の個々の区画により異なる個性を備えています。
この個性をベースに、ブルーノ・パイヤールはそれぞれのキュヴェを作曲するかのごとく組み合わせ、練り上げていきます。
醸造手法
ブレンド
1月からイースターにかけての業務は、ブレンドの準備が主です。
全ての作業に忍耐が求められます。冬の終わりの時点でワインはまだ閉じていて、その潜在性の全てを発揮するに至っていません。ワインは生き物と同じで、その後も刻々と変化していき、最初の試飲からブレンドまでに6カ月近くもの時間を要します。
ブルーノ・パイヤールとローラン・ギヨー、アリス・パイヤールは、第一発酵を終えた500樽、110キュヴェのワインを毎年試飲します。多くの試飲を経て、各々のキュヴェにブレンドするワインを選び出していきます。
マルチヴィンテージは、リザーブワイン(最高50%ブレンド)と多様な畑の個性を駆使してブルーノ・パイヤールが編み出したオリジナルブレンドを忠実に再現します。マルチヴィンテージのブレンドは、単なる畑と品種のブレンドではなく、年月とステンレスまたオークの樽による醸造技術のブレンドでもあります。
ヴィンテージ·シャンパーニュは、特定の年の真髄を表現します。ブルーノ・パイヤールは、収穫年の個性により様々なブレンドを編み出します。このため、如何なるヴィンテージにおいても。「ブラン・ド・ノワール」(ピノ・ノワールのみ)、「ブラン・ド・ブラン」(シャルドネのみ)、「ピノ・ノワールとシャルドネのアサンブラージュ」を作り出すことが可能です。
リザーブワイン
ステンレスと小型のオーク樽で保存するこのリザーブワインは、前年にブレンドされたもので、前年のブレンドの20~50%は、更にその前の年のブレンドです。最も古いブレンドは1985年に遡ります。
他に類を見ないこのノンヴィンテージ・ブリュットの技術は、スタイルとバランスを維持するためのかけがえのない財産です。ブルーノ・パイヤール MV シャンパーニュ(プルミエ・キュヴェ、ロゼ・プルミエ・キュヴェ、ブラン・ド・ブラン・グラン・クリュ)は、各ヴィンテージのバランスをとり一貫したスタイルを保持しています。年により天候が変わりやすいシャンパーニュ地方でスタイルの一貫性を守る秘訣もまた「リザーブワイン」にあります。
醸造手法
熟成
熟成は、アペラシオンで定められた熟成期間よりも2-4カ月程長く熟成期間を置くことで、ワインの複雑な味わいを育てます。
収穫の次の春にブレンド比率が決まると、ワインは、ハーフボトル、750ml瓶、マグナム、ジェロボアム、マチュザレムに二次発酵に必要な酵母とともに瓶詰めされます。
瓶にコルクで仮栓をし、数年間セラーで寝かせます。光と酸素を完全に遮断し室温10.5℃の一定した温度の下長い熟成が始まります。
ブルーノ・パイヤールのシャンパーニュは、法定熟成期間よりも遥かに長い熟成期間を設けています。プルミエ・キュヴェは3年、N.P.U.は8-10年かけて熟成させます。
瓶内発酵は、最初の月に起こります。密閉された瓶内は、樽や開放槽での一次発酵の時のように二酸化炭素の逃げ場がありません。
このため、二酸化炭素はワインの中に溶け込んでゆきます。幾千もの細かい泡となり、年月と共に、より細く繊細な泡沫になります。
数週間後、酵母は死滅して瓶底に沈み、アロマと風味をゆっくりとワインの中に解き放っていきます。
このゆっくりとした神秘の錬金術によって、ブルーノ・パイヤールのシャンパーニュはフィネスと複雑味を増してゆきます。
醸造手法
ルミアージュ
セラー内での長い眠りを経て、澱が沈殿物となり瓶底に溜まります。この酵母の沈殿物を取り除くため、ボトルネックに澱を集めます。
手作業で瓶を動かしていく昔ながらの技術は、非常に時間がかかる上に不規則なプロセスで、ピュピトル(滓下げ台)を使用し、最初に瓶をほぼ水平に設置します。毎日瓶を少しずつ動かし傾けていくルミアージュの作業を続け、瓶を垂直の位置まで持っていきます(1-2ヶ月かけて30回ほどの作業が必要です)。
ブルーノ・パイヤールでは、ジェロボアムとマチュザレムのみ、この手法でルミアージュします。
ジャイロパレット(自動動瓶機)の発明は、今や品質保持に欠かせない役割を果たしています。ジャイロパレットは、人間には真似できない規則性と正確性をもって、ボトルを毎日きっかり1/12回転させ、1度ずつ傾けていきます。
醸造手法
デゴルジュマン
ジャイロパレットで8-10日間ルミアージュを行った後、ボトルは上下逆さ(シュール・ポワント)の状態になり、澱がコルク付近に集められ、デゴルジュマンの準備が整います。
ボトルがシュール・ポワントの位置にきたら、集めた沈殿物を取り除き、透明で鮮やかなワインに仕上げます。これがデゴルジュマンです。
昔は、ボトルを逆さに持って口を開け、素早く元の位置に戻すというア·ラ·ヴォレという職人芸でデゴルジュマンが行われていました。澱を確実に取り除くために必要な分量のワインが抜き取られます。しかし、この手法は、完璧な規則性を約束するものではありません。
今では、沈殿物の溜まったボトルネックを-25℃に凍らせることで、ボトルが正立した状態で容易に澱を取り除けるようにしています。こうすることで抜き取られるワインの量は常に一定で最小限に抑えることが出来ます。
この「大手術」の後、シャンパーニュはセラーに戻され、出荷前に数ヶ月の休息期間を過ごします。この期間は一番若いもので5ヶ月、もっとも古いもので12-18ヶ月に及びます。
この日からシャンパーニュ特有の熟成プロセスが始まります。ワインの外観、アロマ、味わいは、果実から花、スパイスの風味へと進化してゆき、この進化を愛でる旅こそがシャンパーニュ愛好家にとっての醍醐味とも言えます。
デゴルジュマンの日付は非常に重要で、ブルーノ・パイヤールは、1985年から全てのボトルの裏ラベルにこの日付を記載するようになった最初の造り手です。
醸造手法
ドサージュ
次に行うのがドサージュです。デゴルジュマンで目減りした1-2clの代わりに「門出のリキュール」と呼ばれる少量の蔗糖を含むリザーブワインを継ぎ足します。残糖量は、ノン・ドサージュ、ゼロ・ブリュットであれば0g/L、エクストラ・ブリュットは7g/L以下、ブリュットが最大15g/Lで、エクストラ・ドライはこれより甘く、ドゥミ・セックやセックは更に甘くなります。
ブルーノ・パイヤールのシャンパーニュは、全てエクトラ・ブリュットで残糖量は最大6g/Lと低く抑えています。このためワイン本来のピュアな味わいを損わず、余韻が長く生き生きとしたハリのある味わいに仕上がります。